世界の果てに - 百年の光 -
「僕の魔術の根源が…霧か何かに覆われているように、霞んで分からないんです」
正直にそう告げながら、フィオは視線を上げてオーガをちらりと見た。
その意味を考えるように、オーガはじっと黙っている。
「…まるで、何かに守られているみたいで…。とにかく、オーガ様に何か心当たりはないかと思いまして」
「心当たり、ねぇ…」
顎に片手を添えた時、オーガの頭にある人物が浮かんた。
以前、カフェで会った、不思議な少年。
「空から降ってきた人か…」
確かアスティは、そう言っていた。
もしそれが、異世界から来た人物を指すのだとしたら。
「…オーガ様?」
心配そうな表情を浮かべるフィオに、オーガは口を開く。
「フィオ。ちょっと気になることあるから、俺はこのまま旅を続けるわ」
「えっ!?しかし、ジェイル陛下が…」
「何か分かったら連絡すっから。んじゃ」
戸惑うフィオの声を背中に受けながら、オーガは駆け出した。
「…助けて下さい、オーガ様」
フィオは小さくなっていく逞しい背中に向かって呟くと、そっと瞼を伏せた―――…