世界の果てに - 百年の光 -

首を傾げるあたしに、アスティはこっそり耳打ちする。



「―――そのお金全部、置いてきちゃったんだ」



にっこりと微笑むアスティを、あたしは目を丸くして見た。


全部……置いてきたぁ!?


「嘘ぉ!あのエルが!?」


「そう。あのエルが」


「…おい、てめぇら」


あたしたちのあまりの言い様に、エルの口元がひきつっている。


だって相当な額だったのに、置いてくるだなんて、そんな…


「出入り口にこっそり置いてきたから、また会うのが格好悪いんだろうね。あはは」


「あははじゃねぇ!」


アスティに噛みつくようなエルの態度に、自然と顔が綻ぶ。


イーズくんとケルンさんのこと、考えてあげたのかな、とか。


そんなことを考えると、やっぱりエルは優しいのかな…なんて思ってしまう。


「何笑ってんだちびっこ!」


「別にー?早くサイリア着くといいね、エル」


「…喧嘩売ってんのか」


傷口が開くんじゃないかってくらい、思いきり笑った。


…大丈夫。

絶対あたしは、現実から目を逸らさないから―――…






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