世界の果てに - 百年の光 -
俺は自分の服を破り、ローアンの傷口に当てた。
「………っ」
「頑張れ、ローアン!」
たかが布切れ一枚で、出血が止まるわけがない。
それでもこの戦場で、俺に出来ることはローアンを励ますことだけだった。
「……エル…」
ローアンが、か細い声で俺を呼ぶ。
苦痛に顔を歪めながら、ローアンは口を開いた。
「…お前は、もう…立派な…盗賊だ」
「……やめろよ」
「…俺、が…いなくても…やっていける…」
「やめろって…頼むから!」
頼むから、そんないなくなるようなこと言うな。
「…泣くな、よ…男だろ…」
ローアンがフッと微笑んで、俺は初めて頬を伝う涙に気付いた。
目が熱いのが、傷のせいか、それとも涙のせいなのか、もう分からない。
「…生きろよ…エル。…俺の、分まで」
ローアンの瞳が、俺を真っ直ぐに見据えている。
俺と同じ…琥珀色の、瞳。