世界の果てに - 百年の光 -
あたしがオーガの立場だったら、どうだろう。
実の父親が、生け贄と引き換えに世界を救おうとしていて。
けど、生け贄を助けるためには、その父親を…殺めないといけないとしたら。
「………」
無理、だろうなぁ。
あたしはきっと、そのどちらも選べない。
「……リオ?」
一歩進んで、オーガと向き合う。
不思議そうな顔をしたアスティと、しかめっ面のエルに見守られながら、あたしは息を吸った。
「―――――力を、貸してください」
何て酷いことを言ってるんだろうと、自分でもそう思う。
だってこの言葉は、オーガに、父親を殺める手助けをお願いしているも同然だから。
それでもオーガは、その顔に笑みを浮かべた。
「最初から、そのつもりだって!」
強くなりたい。
みんなの優しさに触れる度、そう思う。
…だから、あたしはあたしなりの精一杯で、この世界を救いたい。
「……ありがとう」
そう、例えそれが。
――――自らの命を、捧げることになっても。