世界の果てに - 百年の光 -

口元を潰されて、間抜けな声しか出ない。


「バカじゃにゃいもん!」


「にゃいもん、じゃねえ!」


「~っ、はにゃして―――っ!」


エルの片手を、必死に剥がそうと引っ張る。


その手をどかしてくれたのは、いつの間にか近くに来ていたアスティだった。


「あ、ありがと…アスティ?」


あれ、心なしか怒っているような。…気のせい?


眉を寄せたまま、アスティが口を開く。


「エルの言う通りだよ。何をバカ言ってるの、リオ」


「アス…」


「リオの命は、どこでだって捧げるものじゃないよ」


真剣な紫の瞳に、言葉が詰まる。


同時に、心の奥が温かくなった。



…あたしのために、アスティは怒ってくれてるんだ。


この村だけじゃなくて、世界のためにだって、命は捧げなくていいって…そう、言ってくれてる。

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