世界の果てに - 百年の光 -
生け贄に選ばれたと、そのためにこの世界に呼ばれたと、あたし自身が言われたあの日のことを思い出す。
信じたくなくて、じわじわと迫る恐怖に、身体が震えた。
―――――"生け贄"
これほどまでに残酷な言葉は、きっとない。
「…大丈夫だよ」
「え……?」
俯いていた顔を上げるリエラに、あたしは笑いかける。
「リオ?」
何かを感じ取ったのか、アスティが不安そうにあたしの名前を呼ぶ。
うん、きっと大丈夫。
「あたしが、リエラの代わりになる」
しん、と静まり返る室内。
そんな中、ガタッと椅子が揺れる音だけが響いた。
―――かと思えば。
「おーまーえーは、何バカ言ってんだ?あん!?」
「いいいい、いひゃいっ!にゃにすんにょよ!」
スタスタと歩み寄って来たエルに、ガッ!っと勢いよく顔面を掴まれた。