世界の果てに - 百年の光 -
「…で?原因は何だったんだよ」
そう問い掛けると、アスティは眉を下げて口を開く。
「それがね…あの村に生えてた、木なんだよ」
「木…?」
「正確に言えば、その木が発する毒素なんだけどね」
毒素か…それを吸い込んだから、ってことか?
「あれ、でも…子供とか、若い女の人は大丈夫だったよね?」
ちびっこが首を傾げると、アスティは頷く。
「そこが不思議でね。その毒素は、ある年齢以上の人にしか、影響を及ぼさないらしいんだ…つまり、珍しい木だってことだね」
そんな木が、あんな村中に生えてたら…ひとたまりもないな。
若い人間に被害が及ばなかったのが、せめてもの救いだけど。
「特効薬も作れるみたいだから、一安心だよ」
アスティはフッと笑うと、涙目のちびっこに近づき、頭を撫でる。
「……頑張ったね、リオ」
その一言に、ちびっこの瞳からは涙が零れ落ちた。