世界の果てに - 百年の光 -

猫を助けたはずなのに、異世界を救う生け贄として選ばれてしまった小さな少女。


彼女の存在は、きっとここへ辿り着くまでに出会った全ての人たちに影響を与えたはず。


…一番救われたのは、オレとエルだよね。



オレたちの大切な仲間だからこそ、リオの為に頑張ろうと思える。


リオの犠牲の上に成り立つ世界なんて、あってはならないんだ。



ふと、鬣を撫でていた手を止める。


…クリスも、リオと同じ魔術師によって馬に変えられちゃったんだよね。


「……オレもクリスと話せたらな」


オレの独り言に答えるように、クリスが小さく嘶いた。


リオよりも数ヵ月前に、クリスはオレとエルの大切な仲間になった。


傷だらけで倒れていたクリスを見つけたのはエルで、放っておけなかったオレたちは、自分達の食費を削ってクリスの看病を続けたんだ。


元気になったクリスは、オレたちから離れようとはしなくて…そのまま連れて歩くようになった。


「オレと同じ人間なのに、荷物運ばせてごめんね」


優しく撫でながら謝ると、クリスが小さく首を振る。


< 488 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop