世界の果てに - 百年の光 -

………‥‥


「ーーーエル、アスティ。こっちだ」


苦しいと喚くアスティの首もとを引っ張って、宿屋から出た瞬間、リュウに呼び止められた。


「お早う」


「ああ。……はよ」


「けほっ。エルのバカ…リュウさんおはよう」


涙目のアスティに首を傾げたリュウが、ふと宿屋の上を見上げる。


「…大丈夫か?リオちゃんは」


その問いに、俺は「大丈夫じゃねぇの」と適当に返す。


「アイツはそんなに弱くない。それに、俺達がいる」


「…ふーん。若いねー君達は」


「そりゃあ、リュウに比べたらな」


「ははっ。体は成長してるみたいだけど、やっぱ中身は変わってないな」


可笑しそうに笑うリュウを、俺は不思議な感覚で見ていた。


まるで、名付け親のローアンが生きていた頃に戻ったような、そんな感覚で。


「城に近付いたら、準備を整えよう。さすがに今から縛られたら嫌だろ?」


リュウの問いに、アスティが笑って頷く。リュウはそれを確認してから、城に向かって歩き出した。


俺はちびっこのいる部屋を一度見上げてから、リュウとアスティの後に続く。
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