世界の果てに - 百年の光 -
思えば、エルとアスティと一緒に過ごした盗賊生活のなかで、ちゃんとした食事というものを摂った記憶がない。
山賊やら盗賊やらから盗ん…頂いた食糧とか、たまに酒場のちょっとした料理とか(もちろんお酒は飲んでません!)。
この世界の、最初で最後の豪華な料理。…お腹いっぱいになるまで食べておかないと!
気合いを入れて、次々と料理を口に運ぶ。どれもおいしくて、この世界の思い出を一緒に味わうようにしてから飲み込んだ。
「……さて、リオちゃん」
最後の一皿が綺麗に無くなった頃、タイミングを見計らったようにオーガが口を開く。
「君は今日、君自身の世界へ帰ってしまうわけだけど…」
「………うん」
「それは夜まで、待って欲しい」
「…へっ?」
思わず気の抜けた返事を返すと、オーガはニヤリと笑ってフィオとマーサを呼ぶ。
二人は準備していたかのようにスッと立ち上がると、ポカンと口を開けたままのあたしに近付いてきた。
「…えっ?何?」
「リオさん、失礼します」
両脇に立ったフィオとマーサに、あたしの両腕はガッと掴まれ、椅子から立ち上がらせられる。
状況を把握する前に、息の合った兄妹によって、大きなバルコニーに向かって連れていかれるあたしの体。
「ちょっ、待っ…フィオ?マーサ?」
慌てて後ろを振り返っても、エルとアスティはのんびりとこの様子を傍観していた。