世界の果てに - 百年の光 -
あああ、長老…そんな何でもなんて言ったら…
「―――よし、乗った」
エルは口元に笑みを浮かべながら、そう答えた。
…一体、エルは何を要求しちゃうんだろう。
「そうかそうか!ならば早速、出発しよう」
長老は顔を輝かせると、ぴょんと岩から飛び降りた。
「わお、すごい身体能力」
アスティは口笛を吹くと、クリスの手綱を握った。
「ねぇ長老さん、クリスも連れてって大丈夫?」
「む?…まぁいいだろう。くれぐれも、わしらを食べないよう注意してくれ」
大丈夫だよ、クリスは人間だから…そう言おうとして、やめた。
信じてもらえないだろうし、何故と訊かれたら、説明するのが大変だから。
ただ黙って、あたしたちは長老の後についていった。
十分ほど森の中を歩くと、空が明るくなってきた。
もう朝か、と思いつつ、夜の山賊たちとの戦いを思い出して頭を振る。
「…ここじゃ」
長老が立ち止まったのは、大きな岩の前。