王子様じゃナイト!
うんうんうなっていると、凌也がぽつり、とつぶやいた。

「しかし、思ったより遅くなったな……」

「そうだね。結構暗いや……」

外は夕陽が落ちかけていて、薄暗い。
ついでに風も出てきて肌寒くなってきた。

「……家まで送ってやる。後ろ乗れ」

乗れ、と言われた先には自転車に乗った凌也が。

わたしは慌てて拒否した。


「え、そんな悪いよ…それにわたし重いし…」

「テメェみたいなちっこいのが重いわけあるか。いいから乗れ」

強制的に後ろに座らされ、腹に手を回すようにと言い渡された。

「え、いや、その……」

「振り落とされたいなら手ぇ離しててもいいぜ?」

「うっ……じゃあすみません…」

わたしは振り落とされまいと凌也の腹に腕を回した。


抱きしめられた時と同じ、おひさまのにおいがした。



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