俺様男に心乱れて
「車は小枝子にはイマイチだったか…」

「ううん、そんな事ない。ドライブに連れて行ってもらえると嬉しいな」

これは少し本当。亮介さんとは、未だにデートらしいデートをした事がなかったから。

「そうか! じゃあさ、今度の土曜日にドライブしよう?」

「うん! どこ行こうか?」

「それは俺に任せてくれ。その時に二つ目の買い物を見せるから」

「え? いったい何を買ったの?」

「それはその時までのお楽しみだ」

「ケチッ」

「あはは。さてと、三つ目だけど……目をつぶってくれるか?」

「目を?」

「ああ」

「いいよ」

私が目を閉じると、カサカサと亮介さんが動く気配がして、手をそっと握られた。

「まだ開けるなよ」

「う、うん」

手の平を上にさせられると、その上に何かが乗せられた感触がした。
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