俺様男に心乱れて
「え?」

「お楽しみの邪魔をしちまったようだな? のこのこ来ちまって悪かった」

そう言って亮介さんは帰ろうとした。

「ちょ、ちょっと待ってよ」

私が慌てて亮介さんの腕を掴むと、亮介さんに恐い顔で睨まれてしまった。

亮介さんは、私とマスターの事を完全に誤解しているらしい。なんとか誤解を解かないと…

「誤解しないで? マスターとは何でもないの。娘さんが熱を出したから、看病してただけなのよ」

「へえー、それはお優しい事で…」

その意地悪な言い方と、香水の女が脳裏を過ぎり、私は亮介さんに激しい怒りを感じてしまった。

「何よ、自分だって他に女がいるくせに!」
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