レモン
3.帰り道
帰り際、私はお手洗いにいった原因の話をした。

『どーりで君が懇願するわけだ。だけどさ、余程相手は見る目がないぞ』

俺なら毎日喜んで一緒にいるのに。と小声で彼は言った。

私は少しドキッとして、
《もう少し、彼に強引さがあればいいのになぁ》
って素直にそう思った。


だから少し嬉しくなって、そして少し意地悪に、

彼の左腕に抱きついた。

彼の左腕は私より少し太いだけ。

つまり細かった。


彼は、こらこらそういう俺が恥ずかしいことをするなよ。

と苦笑していた。

やっぱり彼は女の子に慣れてないんだ。

私は彼に見えないように笑った。
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