私をさらった強引彼氏。




掌で顔を覆う。


それでも
涙はとどまることなく流れ落ちた。


「...うっ……。」

「辻本さん...」


橘くんの姿は
自分の掌のせいでよく見えないけど、


大きな手が私の頭に触れた。



「こわ...かった……。」


「ごめん...」



頭にあったその大きな手は、
私の首筋をなぞりながら


肩を包み込んだ。





「もう...こんな思いさせないから」




なんだろう、
このぬくもりがすごく愛しく感じた。


「俺が守るから」




トクン――――――――――


その瞬間に生まれた。




私の知らない感情。





< 41 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop