我が家の妖怪様
「おはよう」

 大学につき荷物を置けば、みんなが俺を見る。ここ最近気付いたことだが、人間と妖怪のハーフだけが、俺を見る目が違う。

 そして、余り俺に近付かない。

 泰葉と身体を共有する様になり、次第にハーフと呼ばれる者は離れて行きだした。中には普通に話していた連中もいたのに、最近は話し方もよそよそしく。

「なぁ、広樹、俺何かしたか?」
「お前じゃなくて、お前の中にいる者のせいだろう」

 大学で知り合い仲良くなった広樹に聞けば、広樹は俺の肩を指差し答えた。
 広樹には不思議な力があり、霊感が強いのか昔から見えない何かが見えていたらしい。

「俺の中に…天狗?」
「天狗様はどの妖怪もが恐がるだろう」

 的確な判断で広樹が話すと、俺は成る程と納得する。確かに、天狗様は妖怪の種族の中でも、トップクラスの階級だ。
 ましてや、ハーフなんて本来の妖怪から言わせると、中途半端な生き物らしい。

「泰葉、お前あいつ等に何かしたのか?」

 小さく呟き聞けば、泰葉は肩を揺らし笑いながら答えた。

「何も。ただ、主には手を出すなと威嚇はして置いたがな。術者を嫌う者が手出し出来ないようにのう」

 呑気に言う泰葉に俺は要らんことをと、心の中で呟いた。仲良く一緒に大学生活をエンジョイしている奴等に、なんてことするんだと。

 これで何となく街中でも変な目で見られる理由が分かった。コイツはきっと、街中にいる妖怪やハーフにも同じことをしているんだ。
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