僕は君のもの

~香織side~


「ちょっ、桐谷クン!?どこいくの?」


声をかけてみたが振り向かず、ただ歩いている。着いたのは、この間告白された空き教室。


中に入って真ん中当たりまで来て止まった。こっちを見ない。でも手は握られたまま。


もう一度声をかけてみた。


「あ、あの、桐谷クン・・・?」


振り向いた桐谷クンの顔は、赤かった。つられて私も赤くなってしまった。


「・・・ごめん。みんなの前でこんなこといって。」


しょげたような顔をしてあやまる姿を見ると、なんだか可愛く見えて、いつも桐谷クンがやるように、頭を撫でた。


すると今度は耳まで赤くなった。


「桐谷クン、超真っ赤。・・・ありがとう。」


「・・・・・」


「すごく嬉しかった。だけどね、気持ちには応えられない。私は今でも翔が好きだから。」


すごく寂しそうな顔をしたが、すぐにもとの桐谷クンに戻った。


「わかってるよ。そんな一途なとこ、柏木らしいな。」


「桐谷クン、私と友達で居てくれる?」


「もちろん。まぁ、今は、だけどな。絶対に俺のこと好きにさせる。佐野先輩のこと忘れろなんて言わないよ。ただ柏木がちゃんと前向いて、歩いて行ければ。」
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