秘密
SIDE.今野珠子
ほら、今も出会った頃と変わらず、門田君は先生を愛しそうに見ている。
何も変わらない。
結婚式、披露宴と、松永夫妻の契りは固く見えた。
悠平はぼんやりと、好美の方を見つめている。時折好美と目が合っては、泣きそうな顔で笑う。
きっと門田君は、もう先生と二人きりで会おうだなんて思わないんだろう。
夫婦になった二人の邪魔になるようなことはしないし、何よりも、先生を困らせるようなことはしたくないはず。
結局結婚式が終了してから、悠平が好美に話し掛けることはなかった。
悠平はずっと遠くから見守って、心の中で心の底から、おめでとうを言った。
「タマ、帰ろう」
「えっ、返るの?ちゃんと挨拶しなくても良い?」
「良いんだ。もう会うこともない」
悠平は珠子の先を歩いた。
結婚式場の周りに設備された花畑と、その中にある赤レンガの道を歩く。
「タマ、ごめんな」
「……」
「いろいろと巻き込んだけど、理解してくれたことが嬉しかった」
そう。だから、もう秘密は終わり。