秘密
SIDE.門田悠平
先生は、この上なく綺麗に着飾っていた。
けど、数ヶ月前まで毎日のように会っていたあの頃の方が、とびきり綺麗だったと思うのは俺の欲目なのかもしれない。
バスで結婚式場の側まで行くと、もう人々で賑わっていた。
年相応ではなかったのかもしれない、と思いながら悠平と珠子が佇んでいると、吹奏楽部の部員が何人か集まっているのが見えた。
「先生、吹奏楽部の顧問だもんね」
「ああ……」
「楽しそうだな」
それはそうだ。
複雑な心境でこの場に来たのは、悠平と珠子くらいだろう。皆、新郎新婦を祝福するためにここへ集まっているのだ。
結婚式に出席することなんて滅多とないので、二人は少し困ったが、ちゃんと二人の席が用意されていて安心した。
周りは吹奏楽部の部員で気を遣うこともなく、結婚式は順調に進んだ。
「……門田君」
「なに?」
「……辛い?」
「何がだよ」
「好きな人が、違う人のお嫁さんになるところを見ることが」
そんなことはない、そう言えたら。
もう吹っ切れたんだ、そう言えたら、良かった。