秘密
SIDE.門田悠平
「あたしはそれで良いと思うし、そうであって欲しいとも思うよ」
「そんな、」
今、自分から珠子が離れていったならどうすれば良いのだろう。悠平は尋常ではない程に狼狽している。
「先生はちゃんと結婚したし、あたしが周りにこの秘密を話すこともない。そうしたら、一緒にいる理由はない」
「……」
タマは、今までこの俺をどんな風に見ていたのだろう。
先生が結婚して、弱った俺から早く解放されたかったのだろうか。
ほんの少しでも、俺を好きになってはくれなかったのだろうか?
気が付けば、珠子が悠平の前を歩くようになっていた。悠平は立ち止まったまま、動けなくなっている。
「先生を裏切らないために、あたしには触れようとしなかった。でも、形式上は恋人であるあたしを裏切ることになっても、先生と抱き合ってキスをすることは門田君の本音だった」
「……」
「これからもし、あたしと門田君が本物の恋人同士になったとして……。あたしと付き合っているのに、門田君が実は心の底で先生を想い続けることは裏切りにならないの?」