秘密
SIDE.門田悠平
授業中の悠平に、珠子の様子を伺うことはできない。
悠平は朝教室に入った時に珠子と目が合った。悠平が珠子と目が合ったのはその瞬間だけだった。
珠子が故意的に悠平から目を逸らしているのは、悠平自身にも解っていた。
「悠平」
「どうした、ハジメ」
「今日は飯でも食いに行こうぜ」
悠平の悪友のハジメが顔を出した。
昨日悠平は、珠子との言い合いに苛立ちを隠せず、ハジメに八つ当たりをして帰宅してしまった。悠平は参ったなと思った。
ハジメは何ともないような表情でいるが、悠平は何とも後味が悪い。
八つ当たりをされて普通ならば腹が立つであろうハジメは、どれ程寛容な性格なのか、至って普段通りに悠平に話し掛けてきた。
「なあ、行こうぜ」
「……ああ」
「よし」
ハジメは満足したように頷くと、自身の席へ戻っていった。
どうにかして謝ろうと、悠平はハジメを見ながら思った。