秘密
SIDE.門田悠平
今日の昼食はどうしよう、と悠平は思いあぐねていた。
珠子はきっともう作ってはくれないだろうし、何よりあれ程言い合って弁当も何もないということは、悠平自身もよく解っている。
悠平は溜め息を吐いた。
教室にいても珠子と話すことはできないし、あまりこれといって友人が多いわけでもない悠平は、少々の寂しさを感じていた。
もう、珠子に謝ってしまおうか。
そう思いながら悠平は再び溜め息を吐いた。そんな瞬間だった。
「門田君」
「……えっ」
悠平の隣りには珠子が立ち、更には話し掛けてきた。
驚きのあまり、悠平は満足に返事もすることができない。しかし珠子は悠平と目を合わせようとしなかった。
「これ、お弁当」
「……」
「一応作ってきちゃったから、腐らせたくないし食べてくれたら嬉しい……。要らなかったら捨てても良いし」
珠子は顔色を変えることもなく、昨日と同様の弁当箱を悠平の机上に置いた。
そうして珠子は、そのまま友人の美百合の元へ向かってしまった。
悠平はただぼんやりと、その珠子の背中を見つめているだけだった。