秘密
SIDE.雨宮好美
好美はその日の五限目に授業があった。
午前中はあまり授業がなく、音楽科は大抵午後に授業がある。
あと数分もすれば昼休憩が終了してしまうのだ。それなのに、悠平からメールの返信がない。いつもは驚く程早く返信されるのに。
それは必ずと言って良い。
この日、悠平からメールが返信されることはなかった。
「……」
どうしたのかしら。
そうだ、充電が切れているのかもしれない。彼には結構そそっかしい部分がある。
好美はそんな風に、無理に自分を落ち着かせようとしていた。
しかし、いくら待っても悠平からメールは来なかった。そのまま授業の予鈴が鳴ってしまう。
「先生、こんにちは」
「あ、あら、早いのね。こんにちは」
授業の為に生徒達が音楽室へ入る。
そんな様子を好美は、本鈴が鳴るまでじっと見つめていた。