秘密
 

SIDE.門田悠平
 



 
悠平は机の陰に忍ばせている携帯電話を握り締めて、思考をただ一心に巡らせていた。
携帯電話のディスプレイには、好美宛ての新規作成メールが開かれたままだ。
本文には何も入力されていない。
 

 
「なんだあ?さっきはにやけてたくせに、今度は眉間に皺が寄ってるぞ」
 

 
この休憩中、悠平はずっと好美に何と返事をしようか悩んでいた。
眉間に皺が寄る程それに悩んでいたということに、悠平はハジメが茶化すことで、ようやく気が付いた。
 

 
「何か深刻なことなのか」
 

「いや、深刻というか……」
 

「……」
 

 
暫くハジメは悠平を見つめていた。
しかし、子供が玩具に飽きて放り出すように、「言いたくないなら、聞かないけどよ」と一言呟いて席に戻ってしまった。
 

ハジメにもこの恋は秘密。
 

 
「……」
 

 
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