秘密
SIDE.今野珠子
翌日、珠子は少しだけ髪の伸びた悠平を前に、ひたすら唸っていた。
ここで勇気を出さないでどうするんだ、と意気込んで弁当を引っ掴んだものの、いざ悠平を目前にすると足が竦んでしまった。
ハジメには、今日は自分で渡す、毎日ありがとうと言って、席を外してもらうことにした。ハジメは嬉しそうに頷いていた。
「……」
悠平は、4限目が終了した今も机に突っ伏したままでいる。
微かだが規則的に肩が上下しているので、どうやら眠っているらしい。
珠子は悠平の席の後ろに立って、気を鎮めていた。その近くで、今日は違うグループの女子に交ざっている美百合がそれを見守っている。
「門田、君……」
それはまるで自分の声ではないようで、気持ちが悪かった。門田君には声として聞こえているだろうか。
珠子は弁当を二つ持って、顔をあげてこちらを向いた悠平に近付いた。