ピアス

2

 あれから六年が過ぎ、わたしはもうすぐ二十歳を迎える。
 とうとう秋江さんと並ぼうとしていた。
 今でもあの日の光景は、色褪せることなく脳裏に焼き付いている。
 ときどき、あの日の夢を見て、魘されることもある。それが、秋江さんへの唯一の罪滅ぼしのような気がした。
 わたしは高校を卒業した後、大学へは入らず、上京先のバイトで何とか食いつないでいた。
 わたしの両親は、秋江さんが亡くなって間もなく、雨にタイヤを滑らせ先立った。
 まるで、わたしではなく、秋江さんが娘のようである。
 家の契約を打ち切られ家を追い出されたわたしは、しばらく祖父母の家にお世話になった。
 決して居心地は良くなかった。
 今は、1LKの安いアパートを借りて、いつの間にか住み着いてしまった猫の雛菊と長閑な日々を送っている。
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