空白の時間=友情>愛情

懐古

人なつっこい性格の翼は、クラスの人気者。

中学時代からバレーボール部のエースアタッカーで、学業の成績も優秀だった。



「先生!先生!!」

ある朝、廊下で呼び止められたオレが振り向くと、翼が声を弾ませて言った。

「昨日、バレー部が地区大会で優勝したんです!!」

「すごいな。うちの学校が優勝するなんて初めてじゃないか!!」

「そうなんです。嬉しくって…嬉しくって…」



翼の明るさに心が開いた―。



その日の放課後、オレは久しぶりに河川敷を歩いた。

賢二との思い出の場所だけになかなか足が向かなかったが、高校時代と変わらない景色に懐かしさが込み上げてきた。



「先生!先生!!」



振り返ると…自転車に乗った翼がニコニコと微笑み、オレに手をふっていた。
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