空白の時間=友情>愛情

鼓動

「先生!何してるんですか?」

駆けよってきた翼は、吸い込まれそうな大きな瞳でオレを見つめた。



「散歩だよ。先生が高校生だったころ、ここでよくキャッチボールをしてたんだ」

「へー、ボク野球ダメなんです。兄は得意だったみたいですけど…」

オレが何と返事しようか迷っているうちに、翼の方から話を切りだした。

「先生と兄は仲良しだったんですよね?」

早まる鼓動を感じながら、オレはうなずいた。

「先生と兄の写真がうちにありますよ」

「そうか…」

「兄は生きてると思います」

「えっ…?」

「兄は生きてますよ」



オレの鼓動はますます早くなった。
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