空白の時間=友情>愛情

理由

披露宴を終え、新郎のオレは二次会会場に向かうべく新婦・香織の支度を待ちながら、祝電の束に目を通していた。

「ご結婚おめでとうございます。お二人の未来が素晴らしいものでありますようお祈りいたします。 広沢賢二」

どの文面もありふれたものだったが、ある一通にというより、その差出人の名前にくぎ付けになった。

こんなことって…。



差出人の名前は「広沢賢二」。



誰かのいたずらか?

本当に賢二が送った電報なのか?

賢二は生きているのか?



決して忘れることのできない…少年時代のあの夏の記憶がよみがえった。



12年前…

オレたちが高校三年だった夏…



親友だった賢二は忽然と姿を消した。

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