空白の時間=友情>愛情

親友

賢二と初めて会ったのは高校の入学式―。

仲良くなるのに時間はかからなかった。

高校一年のクラスメートで、出席簿の順番は広沢賢二の次がオレ・広田直紀だったからだ。

男子校とはいえ有数の進学校のため、大半の生徒は部活動をしない。

学業が最優先と学校側も部活動には、力を入れてなかったのだ。

学校と塾を行き来する退屈な日々…。



オレも賢二も小学生から野球を始め、中学まで軟式野球部に所属していた。

野球好きという共通点もあって、賢二と仲良くなるのにあまり時間はかからなかった。

「賢二、野球部に入らないの?」

「あぁ、野球やりたいならうちの学校じゃねぇだろ?」

「それもそうだな(笑)」



学校の帰り道にある河川敷で、オレたちはよくキャッチボールをした。

バッティングセンターに行くこともあった。

ボールを追いかけたり、バットを振っているとき…勉強漬けの日常から逃避することができた。
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