空白の時間=友情>愛情

事故

夕立が上がった直後の河川敷は、草木の香りがいつもより強く薫っていた―。



オレは翼の到着を待ちわびていた。

6時を回っても翼は現れない。

さらに30分が経過しようとしたとき、携帯電話が鳴った。



学校からだ―。



『広田先生、いま話せますか?』

『はい』

『先生のクラスの広沢翼くんが交通事故にあって、救急車で病院に運ばれたそうです』

頭を殴られたような衝動を覚えた。

『ど、どこの病院ですか?』

『メモできますか?』

オレは慌てて、カバンから手帳とボールペンを取り出した。

『もしもし…もしもし…お願いします!はい、はい。分かりました。これから向かいます。そ、それで…症状はどうなんですか?』

『それが…こちらでは詳しいことは分からないんです…』



オレは電話を切ると、タクシーを探すために走り出した。
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