空白の時間=友情>愛情

病院

タクシーから降りた病院の正面玄関で、真由美夫人と鉢合わせした。

「あぁ、広田くん。翼は…翼は大丈夫なの?」

「ボクも容体を把握してないんです」



救急処置室に案内されたオレたちは、容体を知らされて胸をなでおろした。

自転車で走行中に軽自動車と接触し、肋骨を骨折したという。

意識ははっきりしているそうだ。

医師から現在はCTなどで頭部や腹部の精密検査をしているが、命に別状はない―と聞かされた。



オレは待合室に真由美夫人と並んで座った。

「主人も車の事故だったの…」

「大丈夫ですよ。さっき先生もそうおっしゃったでしょう」

「ええ、頭では理解していても…翼の顔を見るまでは…」

「何か飲み物でも…落ち着いてください。もうすぐ翼くんに会えますよ」

オレはドリンクの自動販売機を探すために立ち上がった。
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