空白の時間=友情>愛情

部屋

翼は退院し、学校も夏休みに入った。

オレは広沢邸の前に立ち、雲ひとつない抜けるような青空を見上げ、ハンカチで額の汗をぬぐった。

蝉の鳴き声が、蒸し暑さを助長していた―。



真由美夫人が温かく出迎えてくれた。

「広田くん、わざわざありがとう。あっ、いいわよね…広田くんで」

オレは苦笑するしかなかった。



懐かしい応接間に通され、アイスコーヒーで喉を潤していると…真由美夫人と翼が入ってきた。

「先生はお忙しいのよ。わざわざお呼び立てするなんて…」

「どうしても先生に話したいことがあるんだ。先生、ボクの部屋に行こうよ」

「ここで話せばいいじゃないの」

「思春期の男の子はデリケートなんだよ(笑)母さんは来たらダメだよ!!」

オレは真由美夫人に会釈して、促されるまま翼の部屋にやってきた。



「賢二兄さんの部屋を使っているのか…」



「まぁ楽にしてよ、先生」

「あぁ」

つい昔の癖で、オレは無意識にベッドへ腰を掛けた。
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