空白の時間=友情>愛情
消される少年

電話

賢二が玄関から出た直後に隆一の携帯電話が鳴った。


『真由美です。隆一さん、そちらに賢二さんがお邪魔してないかしら?』

『賢二?どうして?』

『昨日の夕方から賢二さんが行方不明なの。今朝になっても家に帰ってこないのよ。もしかしたら、隆一さんの所に行ったのかもしれないと思って…』

『友達の家にでも泊まってるんじゃないの?警察に捜索願い?そんなの大げさですよ!』

『とにかく賢二さんが連絡して来たら、知らせてね…』

『分かりました。でも、ひょっこり帰ってきますよ』

『だといいんだけど…。お願いね』



電話を置いた隆一はベランダに出て、大きく伸びをした。

見下ろした道路に当然、賢二の姿はなかった―。
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