空白の時間=友情>愛情

連絡

夏休みも数日を残すだけとなった8月下旬―。

骨折の癒えた翼は部活を再開していた。

練習を終え、帰宅すると翼は自室に駆け込む。

pixiを開くと…久しぶりに“アニキ”からメッセージが届いていた。



『広田先生の連絡先を教えてくれ!』

翼はニッコリ微笑んだ。



その夜、直紀が香織と食卓を囲んでいたとき、自宅の電話が鳴った。

『もしもし、広田でございます。はい…はい…。お待ちくださいませ』

「直紀さん、高校の同級生だって。えっーと…ケンジさん」

オレは頭が真っ白になった…。

「ちょっと早く出てよ」

「あ、あぁ…」



『もしもし』

『奥さんが近くにいるみたいだから、手短にしよう。ナオ、長い間すまない。明日の5時に河川敷で待ってる。来てくれるか?』

『わ、わかった』

『詳しい話はその時に…』

『もしもし、賢二…もしもし…』



直紀はしばらく放心していた。

ツーツーと単調なリズムで、受話器から小さな音がもれていた―。
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