空白の時間=友情>愛情

再会

直紀はその夜、目が冴えてなかなか寝つけなかった。

賢二との空白の12年は長過ぎた…。

賢二に会ったら、何と声をかけたらいいだろう…。

また、親友として付き合えるだろうか…。



翌日の夕方、高ぶる気持ちを静めながら…直紀は少し早めに河川敷に向かった。



やがてタクシーが土手に停まり、スーツ姿の男が車から降り立った。

直紀は日光の反射をさえぎるため、手をかざして目を凝らした。



男はゆっくり直紀に近づいてくる…。

「賢二か?」

「お待たせ、ナオ」

12年ぶりに耳にする賢二の肉声だった―。



直紀の頬を涙がつたった―。



「心配かけたな」

「あぁ」

「老けたな(笑)」

「…お前が心配かけるからだろ!」



ふたりは顔を見合わせて笑った。
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