強欲な女
私は恭平さんに会いたくて仕方なかった。



恭平さんに会って百合のことは気にしなくてもいいと優しく抱きしめて安心させて欲しかった。



だから朝工場に恭平さんの姿を見つけてすごく嬉しくなった。



恭平さんの事をじっと見ていると視線を感じたのかこっちを向いた。



私は微笑んで皆に見えないように小さく手を振った。



しかし恭平さんは無表情のまま視線を逸らした。



(なんで………。)



きっと気づいてないんだ。



そう思うことでなんとか気持ちを落ち着かせた。



今日一日全く仕事に集中出来なかった。



百合さんの姿を見るたびになんか恐い気持ちになる自分がいた。



｢真美ちゃん元気ないね～。｣



話しかけてきたのは佐倉さんだ。



｢そんなことないですよ………。｣



｢また嘘ついて～顔みればすぐに分かるから。今度良く眠れるように腰のマッサージしてあげようか？｣



そう言って私の腰を触る佐倉さん。



(人が機嫌悪いときにこのエロおやじ………｡)



｢遠慮しときます。｣



逃げるように工場を出て帰ろうとすると携帯が震えた。






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