強欲な女
｢っ……お母さん………。｣



そこにはにっこりとこっちを向いて微笑んでいる母の姿があった。




手には赤ん坊を抱っこして………。



｢お願い連れて行かないで！｣



私は母が赤ちゃんを連れていってしまうと思い必死で叫んだ。



すると母はまたにっこり笑って手に抱いていた赤ん坊を私の赤ちゃんと一体化させるかのようにそっと離した。



スーッと消えていく母の姿。



｢ｯｺﾎﾟ………おぎゃぁ～！｣



母の姿が見えなくなってすぐ部屋中に赤ちゃんの泣き声が響き渡った。



｢良かった………良かったね真美ちゃん！｣



泣きながら私に抱きつく紗季さん。



｢元気な女の子です。ほら、ママだよ。｣



そう言って助産婦さんが私のお腹の上に赤ちゃんを置いてくれた。



｢私の赤ちゃん………。｣



そこには触ると壊れてしまいそうなほど小さい赤ちゃんが力強く泣き声をあげていた。



｢ありがとう産まれてきてくれて………。頑張って生きようとしてくれてありがとう。｣



私は涙を流しながら優しく赤ちゃんを抱きしめた。









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