強欲な女
バタンと乱暴にドアが開けられた。



何かまた怒っているみたいだ。



「帰ったなら挨拶ぐらいしてきなさい。 お姉ちゃんの彼氏も来てるのにあんたは礼儀もしらんのか?お姉ちゃんに恥かかすんじゃないわよ!」



キンキン声で喚いて下へと降りて行く母。



(私はちゃんとただいまって言ったのに……。そっちが話しに夢中で私のことを無視したくせに………。)


悔しくて悲しくて涙が溢れ出た。



母に愛されていないことを改めて痛感した。



分かっていたことなのに胸が痛む。



心が空しい。



人の温もりに触れたくて携帯で友達を検索するが地味に生きてきた私にはこんな時に気軽に話しができる友達もいない。



「誰か助けて…………。」



私は泣きながら小声でそう呟いた。




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