クリスタルライン
瞳を閉じたままの私に、リョウは言った。
「杏里、今までありがとな」
彼の言葉に、私は確信する。
あぁ、もう本当にお別れなのだと。
もう、後悔はしたくなかった。
だから伝えた。
「リョウ、大好き。……ありがとう」
彼の唇が、私の頬にそっと触れたのが分かった。
サーっと冷たい風が吹き、私は瞳を開けた。
けれど、彼の姿はもうどこにもいなかった。
広がる海の水面だけは、変わらずキラキラと光っていてた。
頬には涙が伝っていた。
本当、今日の私は泣き虫……。
それから少しの間、海を見つめていた。
とても、とても静かな時間が流れた。
さっきのは、夢だったのだろうか。
それとも、本当に私は……。
立ち上がった時に気がついた。
私は、その時たしかに彼のコートを着ていた。