クリスタルライン




私は涙まじりに笑ってしまった。



リョウったら、コートを残していくなんて私に一生忘れるなって言いたいの?って。



だけど、




「リョウ……、ありがと」





私に、会いに来てくれて。


リョウのコートを抱きしめると、ほんのり彼の香りがした。


その時、冬なのに春のような暖かい風が一度吹き、私の頬をかすめていった。


私はふと思った。


奇跡が起きたのかもしれない……と。


クリスマスの奇跡って本当にあるのかもしれない……って。




「じいちゃん、見てー!キラキラ光ってるよぉ」



誰かの声が聞こえてきて、ハッとした。


辺りを見回すと、小さな男の子とおじいちゃんが、2人で手をつないで歩いているのが見えた。


男の子は、海を指差しながらとても嬉しそうに笑っていた。



「光っとるのぉ。綺麗じゃのぉ」



男の子の笑い声と共に、おじいちゃんの笑い声も聞こえてきた。



「きらうみぃ!」



男の子がそう叫んだ瞬間、えっ?って思った。


きらうみ?


嘘……


もしかして……!


……なんてあるわけないか。


あの子が、リョウだなんて……。


きっと、キラ海とは私たちだけでなくみんながこの海に付ける名前なんだ。


遠ざかっていく、男の子を見つめていた。



あの男の子が、リョウの生まれ変わりかもしれないとか。


色々とおかしなことを考えてしまう。


今日は、ひとまず帰って眠ったほうが良いのかもしれない。


私はそう思い、一度大きく深呼吸をしたあと帰路についた。




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