クリスタルライン
―――……
――…
翌日
目覚めた私は、抱きしめて眠っていたコートがどこにもないことに気がつく。
「えっ?!」
と、思い。
家中を必死に探したけれど、やはりどこにもなかった。
「やっぱり、昨日のは夢……だったのかな」
なんとなく悲しい気持ちになった。
だけど、心の中は何だかスッキリとしていた。
快晴って感じで、なんでも出来ちゃうような気がする。
―――ガチャっ
「ええっ?……あ、杏里どうしたの?」
朝、台所にやってきた姉が驚く。
……のも当然。
私が珍しく、朝食なんて作っているんだから。
「おはよう、お姉ちゃん。朝ごはん、作ってみた。へへっ」
そう言って笑顔を向ける私に、姉はしばらく固まっていた。
「ね、お姉ちゃん。今日、お母さんたち帰ってくるじゃん?私、学校帰りに夕飯の食材買ってくるから、お姉ちゃんは心配しないでね」
そう言って、私はさっさと家を出た。
今日は、海外出張から母と父が帰って来る日なんだ。
きっと2人とも日本食を恋しいと思っているだろうから、お味噌汁とか色々作ろうと思ってる。