オリオンの砂時計

わたしとあの娘。


前方を歩く女の後ろ姿。それが「ココハオマエノイバショジャナインダヨ。」と語りかける。5月の暑くなりはじめた時期、大学への坂道は急勾配で、汗と息切れを余儀なくされる。そんな気候のせいか私の頭の中の言葉によるのか、ここ数週間大学への足取りが重い。今日も高校からの友人に出席カードを頼んで、すぐに大学から出よう。
友人に出席カードを頼んで、人の波に逆らって私は爽やかな風の吹き込む講義室を後にする。駅から逆方向の車両に乗ると人は少なく中年女性が多くてお喋りはすごいけど、冷房装置の真下に行けば、そんな事何の苦にもならない。
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