ビター・キャラメル
用件も一緒に言っといてくれればいいのに。
あ、ダメだイライラしてきた。
「マスター、キャラメルマキアートあたし用に作っていいですか」
「…図々しいやつめ」
「わーい!いただきまーす」
マスター自家製のキャラメルソースでつくるキャラメルマキアートは絶品だ。
というよりマスターのつくるスイーツは絶品だ。
「マスター、明日はキャラメルパンを期待してます」
「制服汚した分際で調子乗んなよ!」
くそう、だめか。
「マスターひどい…」
「うっせぇ、あれめんどくさいんだ」
「きっとお客さんたくさん来るのに」
マスターが本気を出せば、間違いなくこの店は繁盛する。
いつも手抜きで簡単なパンばかり作っているから、常連客は来るけど、新たな客は増えないんだ。
客が増えればあたしの時給はもっと上がるかもしれないのに。
…マスターの料理上手な部分と彼の顔があたしにあったらよかった。