手の中の蝶々


『もっと上手に謝れませんか?桜木さんは駄目な生徒ですね』


今度は学校で私に話すように敬語で。


上手な謝り方って何?
もう何にも分からなくなりそう。

『教えないといけないですね』


先生は私の顎を少し痛いくらいに掴み、無理矢理正面に向かせる。


「っ…!」


近い。

間近で見た先生は、眼鏡をかけていなくて。
暗闇で鋭く光るその目は剥き出しで。
完全に、弱く食するには打って付けの獲物を見据える目で。


どういたぶってから食べてやろうか……


と隠そうともしない野心が露になっている。



『"お願いです許して下さい、海先生"って言うんですよ。分かりました?桜木さん』


「…え、あ……」


近さと、野心に恐怖までをも覚える私はもう混乱真っ最中で。


『…返事は"はい"でいいんだよ』

「…は、はい」

『早く言わねぇと……』


またもや突然人格が変わる先生。

下からにも関わらず、見下すような視線を私に向け、


『一生この状態から逃げられねぇからな』



口角を上にニヤリと艶めかしく持ち上げる。



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