手の中の蝶々
「お…お願いしま…す」
私の声は震え、力が入らない。
なんだか息さえも苦しくて。
「許して下さ…い」
そもそも私は冗談混じりで気持ち悪いと言っただけなのに。
「…海先生……」
何故こんな目に。
目眩がする。
私が言われた通り言葉を繋ぐと、
先生は私の顔を持っていた手を放して、自分共々起き上がり私を座らせる。
『良く頑張ったね!
ご褒美として明日は僕のエプロンを着させてあげる!』
急に基の明るい先生に戻った。
私が普段見ている先生。
「………」
そんな急激な変化に、ぼやーっとしている私の頭はついていけなくて、
"ご褒美にならないし、元々エプロン着る約束だろ"
なんてキレの良い文句は浮かび上がらない。
それどころか私の言動は、
「あ、ありがと…」
完全に狂ってるようだ。
何が正解で何が不正解なのかも分からなくて。
私は半ば放心状態で心のこもらないお礼を先生にし、たどたどしくベッドに潜った。
私はとにかく目を瞑り、眠る事に集中する。
そこには、結局つけられなかった豆球のことなんてこれっぽっちもなくて。
瞑ってしまえば同じ暗闇だということに気付いた。
案外豆球つけなくても大丈夫かもしれない。