嘘から始まる恋
「…っ、そうじゃない!」
否定するなら最初から認めなかったら良かったじゃん。
そしたら私も何も気付かなかったフリしたのに。
「成瀬くんが王子を演じてる時点で気付くべきだったんだよね?人を平気で騙す人だって!」
そう言った後、一瞬、言い過ぎたかも…と後悔した。
こんなことが言いたいわけじゃないのに。
「…本気で言ってんの?」
「……本気、に決まってるじゃん」
成瀬くんの目つきが、低い声が怖くて、私は走ってその場を後にした。
どうしたらいいのか分かんないよ!
廊下の角を曲がった所で人にぶつかってしまった。