嘘から始まる恋
最終章
不器用な王子
「工藤さん」
放課後、山中くんに呼ばれ廊下に出る。
「どうしたの?」
「成瀬のことなんだけど」
一瞬、ピクッと反応してしまった。
「やっぱりあいつと付き合ってるんだね」
「…………」
「誰にも言わないから心配しないで?ちょっと俺、あいつに腹立って意地悪言っちゃったから、謝っとこうと思って」
そう言って小さく微笑んだ。
「意地悪…?」
「そう、意地悪。あいつ、工藤さんのこと本当に好きだよね」
その発言に顔を赤くすると、山中くんは呆れたように笑って、溜め息を吐いた。