嘘から始まる恋
「成瀬くんって、好きな人いないの?」
って、いきなり何聞いてんだ!
「…いるよ」
その言葉に一瞬、胸がズキッとした。
いるんだ、好きな人。
「そうなんだ…。だったら私なんかに彼女役頼まなくても、その人に頼んだら良かったのに…」
「…なんで泣くの?」
成瀬くんの言葉にハッとし、涙を流していたことに気付いた。
「な、なんでだろ?ははっ……ごめん、教室戻るね」
涙を拭い、急いで教室を出ていった。
私、何泣いてんだ!
好きな人に好きな人がいてもおかしくないのに。
私はただの言いなりに過ぎないんだ。
キスしたからって、たまに優しいからって、勘違いしちゃダメだよ。
良かった…、"好き"って伝える前に気付いて。